
モーリス・メルロ=ポンティの「制度化」という概念をもとに、それを二つの方向に発展させることをつねに考えています。(1)フーコー、デリダ、ドゥルーズ以後の思想は彼の思想をどう更新したのか、あるいは彼らをそろそろ卒業し、メルロ=ポンティ独自の可能性を未来に投げかけることはできないのか。(2)現代アートを含めた芸術についての思想、あるいは芸術の中に働いている新たな思想の模索、現代の精神医学の研究との共同(臨床哲学)など、多彩な分野で<共鳴>している問題の探究。現在ではとくに、生態学的な現象学や、エコロジーの思想を、「大気=雰囲気(atmosphere)のテクスチャーの思想」に発展させることを考えています。