佐藤 吉幸(佐藤 嘉幸)(SATO, Yoshiyuki)

専門
フランス現代思想・社会理論
主な担当科目
本専攻:文化構造論、文化構造論特論
比較文化学類:文化創造論研究、文化創造論演習
全学対象科目:フランス語基礎A/B、ヨーロッパ文化圏の言語と文化(フランス語)II
研究分野の紹介
 フーコー、ドゥルーズ、デリダ、アルチュセールなどの、ポスト構造主義以後のフランス現代思想・社会理論を研究しています。私の研究は、おおむね次の二つの領域からなっています。
 第一に、現代的権力の作動メカニズムを考察する権力理論です。近代とは、フーコーの用語を使えば、ミクロ権力の諸装置が人間主体に恒常的に働きかけて従順な主体を生産・再生産するという規律権力が支配的な時代でしたが、二〇〇〇年以後の現代ではむしろ、恒常的な競争のシステムによって主体を管理する新自由主義的権力と、治安維持の装置としての主権権力とのカップリングが支配的になりつつあります。権力メカニズムの現代的変容と社会変革の可能性を考察するために、フーコー、ドゥルーズ=ガタリ、ネグリ=ハートのような同時代の思想を研究しています。
 第二に、こうした権力の諸装置によってどのように主体が形成されるかを考察する主体形成理論です。これは、先に述べた権力理論に加えて精神分析理論を参照しながら、主体形成の原理的なメカニズムを考察するものです。こうした方向性に基づいて、フロイト、ラカンの精神分析理論やデリダによる精神分析理論の脱構築、アルチュセール、ジジェクの主体形成理論や、バトラーのジェンダー理論を研究しています。
ポワチエにあるミシェル・フーコーの生家(『監獄の誕生』の著者の生家は、現在では皮肉にも、フランス法務省刑務所局によって使用されている)

研究業績
1) Pouvoir et résistance : Foucault, Deleuze, Derrida, Althusser, L’Harmattan, 2007(単著).
2) 『権力と抵抗−−フーコー・ドゥルーズ・デリダ・アルチュセール』、人文書院、2008年(単著).
3) 『新自由主義と権力−−フーコーから現在性の哲学へ』、人文書院、2009年(単著).
4) Althusser and Law, Routledge, 2013(共著).
5) 『脱原発の哲学』、人文書院、2016年(田口卓臣との共著).
6)『三つの革命 ― ドゥルーズ=ガタリの政治哲学』、講談社選書メチエ、2017年(廣瀬純との共著).
受験を希望される方へのメッセージ
 授業では、現代思想、社会理論、精神分析理論の基礎文献を読解し、受講生のみなさんと一緒に議論しつつ、論文執筆のための基礎理論を習得しています。近年の授業で扱った主題を以下に挙げておきます。
1)フーコー『セキュリティ・領土・人口』を読解し、(新)自由主義的な権力メカニズムについて議論した。また、規律権力、主権権力との差異の考察を通じて、フーコー権力理論の基礎を習得した。
2)デリダ『法の力』とベンヤミン『暴力批判論』を読解し、主権権力の暴力性、残虐性について議論した。また次年度には、デリダ『友愛のポリティックス』と関連文献(アリストテレス、シュミット、ニーチェなど)を読解し、権力の残虐性の変容可能性について議論した。
3)ラカン『精神分析の倫理』と関連文献(フロイト『科学的心理学草稿』、『文化への不満』など)を読解し、ラカンにおける欲望概念について議論した。また、想像界、象徴界、現実界や、シニフィアン理論といったラカン精神分析の基本概念を習得した。
 今後も、近現代思想の基礎文献の読解を通じて、アクチュアルな思想的、社会的諸問題についてみなさんと議論したいと考えています。現代思想や現代社会に関心のある皆さんの積極的な参加を期待しています。
授業の様子

E-mail, Homepage
sato.yoshiyuki.ff(@)u.tsukuba.ac.jp



Copyright© 2013 筑波大学大学院 人文社会科学研究科 現代語・現代文化専攻. All Rights reserved.