山口 惠里子(YAMAGUCHI, Eriko)

専門
イギリス美術
主な担当科目
本専攻: 文化動態論(2)
教育研究科:英米文学演習III
比較文化学類:先端文化学研究VII, 文化科学領域入門演習I
CEGLOC:英語基礎I
研究分野の紹介
 19世紀イギリスの芸術家グループであるラファエル前派兄弟団を中心として、ヴィクトリア朝芸術を研究しています。とりわけラファエル前派の詩人でもあり画家でもあったD. G. ロセッティの作品と19世紀前半の中世主義、世紀後半の唯美主義や日本趣味との関係性を探っています。ロセッティは、ウィリアム・モリスらと家具のデザインもしています。ロセッティの家具デザインや彼のコレクションが影響を与えた「美しい家」のインテリアも研究テーマの一つです。また、19世紀イギリス美術と人類学との接点も考察の対象とし、プリミティヴィズム、テクノロジー(技術、身体技法)と芸術の関係性についても研究を進めています。イギリス現代美術では、フランシス・ベイコンやリチャード・ロングを研究対象としています。

ジョン・エヴェレット・ミレイの家(83 Gower Street, London)でラファエル前派兄弟団が結成された

研究業績
1) 「ラファエル前派の中世風絵付け家具における「無骨な」テクノロジーーーデザインとマテリアリティのあいだ」『ロンドンーーアートとテクノロジー』(山口惠里子編)竹林舎、2014.
2) 英国ヴィクトリア朝の日本趣味と明治芸術のラファエル前派受容——中世主義と装飾芸術を結び目にして」『日本とヴィクトリア朝英国——交流のかたち』(松村昌家編)大阪教育図書, 2012.
3) 「中世ロマンスと待機の形象化—身体の分断化・連続性・可傷性」『イギリス・フランスの中世ロマンス ―語学的研究と文学的研究の壁を越えて』音羽書房鶴見書店, 2009
4) 「「叫び」から「微笑み」へ—フランシス・ベイコンの描いた身体を市民社会が抱擁するということ」『ノイズとダイアローグの共同体—市民社会の現場から』(川那部保明編)筑波大学出版会, 2008
5) 『椅子と身体——ヨーロッパにおける「坐」の様式』ミネルヴァ書房, 2006
受験を希望される方へのメッセージ
授業では、同時代の人類学、文学、哲学などの別の学問領域との接点に現れた美術作品や装飾芸術、視覚資料を考察しています。北ギリシアの山村の家具やイコンを人類学的に研究したこともあって、人々の生活をとりまく「モノ」(artifact)と、その生活から現れた美術作品との関連を見出そうとしています。こうした試みをつなぐ蝶番となっているのが、「身体」とは何かという問いです。ロセッティが描いた身体、身体を置き入れるインテリア・家具、イコンに嵌め込まれた「乳房」、リチャード・ロングが歩いて制作した「彫刻」など、身体という現象の現われとしての美術、家具、技術を、授業でも考察しています。授業には、美術史、哲学、文学、人類学、歴史学を専門とする学生やファッションやパフォーマンスを研究する学生などが集まり、ひとつの作品を様々な方向から検討しています。
北ギリシアの椅子兼ベッド、バシ
『椅子と身体』より

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